若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
抱いてほしいという願いを、彼は『わかった』と受け入れてくれた。

震える手を握って、その日のうちにキスをしてくれた。

誓いのキスの予行練習だと言ってにっこりと笑った彼。夕翔が言ってくれる『好きだよ』という言葉が、愛の言葉だとは向葵は思っていない。
それは彼の優しさだ。

こんなに心を奪った彼を恨んだりしないために、二人の間には金銭が発生するのだということもわかっている。

それでもいい。
たとえ二年でも、彼の妻でいられるなんて本当に幸せだ。

――本当にほんとうに幸せで、好きで仕方がないんだもの。

私の旦那さま。
愛しい旦那さま……。

夕翔はとても大人で、彼から見れば自分などまるで子供だろう。

でも、ときどき彼は、どこか哀しげな目をして向葵に手を伸ばす。
そんな時の彼は歩き疲れた迷い子のようで、向葵は彼の背中に精一杯手を伸ばす。

そして、どうか私の愛情が彼を癒しますようにと祈る。
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