若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
彼はとても忙しい。
熟睡しているはずなのに、スマートホンが揺れるとすぐに目を覚ます。
向葵が起きると気を使うのがわかるので、向葵は気づかないふりをしてそのまま瞼を閉じているが、彼は静かにベッドを離れて、リビングで電話を取る。
優しい人だ。
日によって機嫌が悪いなんてこともない。疲れている時はなんとなくわかるが、だからといって彼の態度はいつも変わらないし、穏やかだ。
できる事は全部してあげたいと思うが、向葵にできることはとても少ない。
数日前の夜、チェストの上にあった彼のバッグが倒れた。
はらりと落ちた封筒と中身。
それはパーティの招待状だった。
彼はその話をしない。
――私には無理だと思っているからだろう……。
パリのパーティで緊張するだけでなにもできない私に、懲りたに違いない。
なんの役にもたてないけれど。
せめて。
彼の邪魔をしないように、居心地のいい部屋にするように。少しでも栄養ある食事がとれるように、気にかけることくらいしかない。
それが悲しかった。
熟睡しているはずなのに、スマートホンが揺れるとすぐに目を覚ます。
向葵が起きると気を使うのがわかるので、向葵は気づかないふりをしてそのまま瞼を閉じているが、彼は静かにベッドを離れて、リビングで電話を取る。
優しい人だ。
日によって機嫌が悪いなんてこともない。疲れている時はなんとなくわかるが、だからといって彼の態度はいつも変わらないし、穏やかだ。
できる事は全部してあげたいと思うが、向葵にできることはとても少ない。
数日前の夜、チェストの上にあった彼のバッグが倒れた。
はらりと落ちた封筒と中身。
それはパーティの招待状だった。
彼はその話をしない。
――私には無理だと思っているからだろう……。
パリのパーティで緊張するだけでなにもできない私に、懲りたに違いない。
なんの役にもたてないけれど。
せめて。
彼の邪魔をしないように、居心地のいい部屋にするように。少しでも栄養ある食事がとれるように、気にかけることくらいしかない。
それが悲しかった。