若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「――私、普段は感情的じゃないんですよ? 昔から氷の女って言われていたし、いつだってもっと冷静だし」

だからモテたことがない。
弁の立つ女は男受けが悪いし、可愛い女にはなりきれないのだ。

「ええ、そうですね。あなたはいつも冷静で優秀な弁護士ですよ。普段は」

それなのに、こんなに自分をさらけ出してしまうのは、それは相手がこの人だから?
「本気なんですか?」

「弁護士を相手に、いい加減な気持ちで告白はしません」

「でも私、こう見えて、実はものすごく甘えん坊で、強烈なほど、わがままなんですけど、それでもいいんですか?」

「はい、もちろん」

目を合わせるのが恥ずかしくて、ふと外を見た。

いつの間にか、美しい夕暮れが広がっている。

向葵と月井夕翔はいまどこにいるのだろう。彼らもこの美しい夕焼けを見ているのだろうかと思いながら、佳織はつぶやいた。

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