若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
だが報告はこれで終わりではない。
もうひとりの当事者へも連絡しなければならない。彼女も返事を待っている。
思いに耽っている余裕はないと気を取り直し、画面に指を滑らせた。
新婦月井向葵に関しては、弁護士の羽原佳織が窓口になることになっている。
「矢神です。無事、婚姻届を提出しました」
『お疲れさまです。では向葵さんには、私の方から連絡を入れておきますね』
「はい。今日中に必要書類を届けますので、パスポートのほうはよろしくお願いします」
『わかりました。経過は報告します』
電話を切ると、矢神はまたため息をつく。
昨日は随分取り乱していた羽原佳織だったが、いまはもうこの婚姻を受け入れる踏ん切りがついたのだろう。電話口の声は、随分と落ち着いているようだった。
彼女を説得したのは彼自身である。なのに、今となっては自分ひとりだけがこの結婚に異議を唱えているような気がして釈然としない。
もうひとりの当事者へも連絡しなければならない。彼女も返事を待っている。
思いに耽っている余裕はないと気を取り直し、画面に指を滑らせた。
新婦月井向葵に関しては、弁護士の羽原佳織が窓口になることになっている。
「矢神です。無事、婚姻届を提出しました」
『お疲れさまです。では向葵さんには、私の方から連絡を入れておきますね』
「はい。今日中に必要書類を届けますので、パスポートのほうはよろしくお願いします」
『わかりました。経過は報告します』
電話を切ると、矢神はまたため息をつく。
昨日は随分取り乱していた羽原佳織だったが、いまはもうこの婚姻を受け入れる踏ん切りがついたのだろう。電話口の声は、随分と落ち着いているようだった。
彼女を説得したのは彼自身である。なのに、今となっては自分ひとりだけがこの結婚に異議を唱えているような気がして釈然としない。