若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
それからいくつか買い物をして、通りに出た時にはすっかり暗くなっていた。

荷物はずっしりと重い。
でも、その重さに反比例するように向葵の心はフワフワと軽かった。

――結局沢山買っちゃった。

こんなに買い物をしたのはいつ以来だろう?
一目惚れしたトラベルポーチに、デザートのように甘い色のランジェリー。

するとその時、bu bu buと背中のリュックからスマートホンの振動が伝わった。
歩道の端に寄って取り出したスマートホンを、早速開いてみる。

メッセージは、羽原弁護士からだった。
『羽原です。お世話になっております。チケットの用意が出来ましたのでお渡ししたいのですが、ご都合いかがですか?』

すぐさま返事を打つ。
『何時でも大丈夫です』

送信すると同時にドキドキと胸が鳴る。
夏休み。

向葵はパリに旅立つ。

愛する?夫に、はじめて会うために――。

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