若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
生まれてはじめて経験したファーストクラスは、満喫するはずが快適すぎて爆睡してしまったのだ。寝て起きたら着いていたくらいの記憶しかない。

「そうですか、それはよかったです。夕翔さまをお待ちする間、向葵さまにドレスの試着をして頂きたいのですよ」

「ドレス?」

「はい。パーティ用のものと、こちらで御召しになる服も。、あとは夕翔さまが到着されてから、ウェディングドレスも選んでいただかなくては」

手帳を広げながら向葵を振り返ったマリーは、ニコニコと笑って肩をすくめた。

――ウェディングドレス選びを、彼と一緒に?

えええ!!!

耳まで赤くした向葵に、マリーは「楽しみですね」と付け加えた。

楽しむ余裕なんてないですよっ! そう叫びたかった。
動揺のあまり、クラクラと眩暈がするようだ。
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