若奥さまと、秘密のダーリン +ep2(7/26)
「そうだねぇ。好きなのは、美味しいワイン、チーズ、あとはうーん。あんまりね、好き嫌いはないんだ。嫌いなものも、今まで食べたなかでこれはダメだと思ったこともないかな」
「甘いものも? 辛いものも?」
「ああ、そう言われれば、甘いものはほんの少したけでいいかもしれないな。辛いものは、どうなんだろう? 激辛じゃなければ問題ないと思う」
「激辛は私もダメです!」
――あ。
聞かれてもいないのに思わず言ってしまったことが恥ずかしくなって、あははと照れ笑いで誤魔化すと、笑ったのは向葵だけじゃなかった。
目を細めて夕翔もアハハと笑っている。
弾けたようなその笑顔に、心がキュンキュンと跳ねた。
「僕も教えてもらおうかな? 向葵のこと」
――えっ。いま私のことを“向葵”って?
途端にカーっと熱いものが込み上げてきて、息をすることも苦しくなった。
このままじゃ、本当に心臓がどうにかなりそうだ。
赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくて、下を向いたけど、隣の席から首を傾げて、彼が自分を見つめていることが、向葵にはわかる。
「どうして――?」
――え? 今なんて?
答えなきゃとは思うが、気が動転していて聞き取れなかった。
「向葵? 大丈夫?」
「え? あ、はい」
「シャトーまで少し時間がかかるから、ちょっと休もうか。疲れたよね」
夕翔はそう言って上着を脱ぐと、向葵に覆いかぶさるようにして彼女の体に上着を掛けた。そしてリクライニングのボタンを押す。
ウィーンと倒れていく座席に体を預けた向葵は、ゆっくりと瞼を閉じた。
彼の上着から、上質なコロンの香りがふわりと漂って、何故だか泣きたくなった。
――夢ならどうか覚めないで。
このままずっと……。
お願いだから。
切なくそう思いつめるうち、いつの間にか眠ってしまったらしい。
人は緊張しすぎてもよく眠る。向葵の場合は特に。
「甘いものも? 辛いものも?」
「ああ、そう言われれば、甘いものはほんの少したけでいいかもしれないな。辛いものは、どうなんだろう? 激辛じゃなければ問題ないと思う」
「激辛は私もダメです!」
――あ。
聞かれてもいないのに思わず言ってしまったことが恥ずかしくなって、あははと照れ笑いで誤魔化すと、笑ったのは向葵だけじゃなかった。
目を細めて夕翔もアハハと笑っている。
弾けたようなその笑顔に、心がキュンキュンと跳ねた。
「僕も教えてもらおうかな? 向葵のこと」
――えっ。いま私のことを“向葵”って?
途端にカーっと熱いものが込み上げてきて、息をすることも苦しくなった。
このままじゃ、本当に心臓がどうにかなりそうだ。
赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくて、下を向いたけど、隣の席から首を傾げて、彼が自分を見つめていることが、向葵にはわかる。
「どうして――?」
――え? 今なんて?
答えなきゃとは思うが、気が動転していて聞き取れなかった。
「向葵? 大丈夫?」
「え? あ、はい」
「シャトーまで少し時間がかかるから、ちょっと休もうか。疲れたよね」
夕翔はそう言って上着を脱ぐと、向葵に覆いかぶさるようにして彼女の体に上着を掛けた。そしてリクライニングのボタンを押す。
ウィーンと倒れていく座席に体を預けた向葵は、ゆっくりと瞼を閉じた。
彼の上着から、上質なコロンの香りがふわりと漂って、何故だか泣きたくなった。
――夢ならどうか覚めないで。
このままずっと……。
お願いだから。
切なくそう思いつめるうち、いつの間にか眠ってしまったらしい。
人は緊張しすぎてもよく眠る。向葵の場合は特に。