バッドジンクス×シュガーラバー
本格的に夏日が続くようになってきた、6月初旬。
私は今日も、スプーンを片手にラボで悪戦苦闘していた。
「うーん……これも、ちょっと違いますね。もう少し、ミルクの味を濃く出したいんですけど」
舌の上で溶ける甘いクリームを味わいつつ、渋い表情でつぶやく。
食べ物としての味が不味いわけではない。ただ、自分の理想とする味や食感になかなかたどり着かないのだ。
私の感想を聞いた白衣姿の上本さんも、難しい顔をして顎に片手をあてた。
「なら、使用する牛乳の種類を見直すか、もしくはバターや生クリームを加えて脂肪分を高くしてみますか」
「すみません、お願いします。材料はまたこちらで検討して手配しておきますので」
「わかりました」
にっこり笑ってうなずいてくれた上本さんに、こちらも申し訳なさと感謝が入り交じった微笑みを返す。
その後意見交換や片付けを終えて、ラボをあとにした。