バッドジンクス×シュガーラバー
《憂依、大丈夫? 無理してない?》



今日は侑子と外でランチをする約束だったのに、急遽決まった仕入先メーカーへの訪問のためやむを得ずドタキャンすることになってしまった。

ひとり暮らしのアパートへの帰宅後、そのお詫びのメッセージを改めてスマホから送った私に、電話で応えた侑子の第一声が先ほどのセリフだ。

私は仕事から帰ったばかりの格好のままスマホを耳にあてて、ワンルームの中心にあるベッドにドサリと腰を下ろす。



「んー、大丈夫大丈夫。まあ、多少は無理してがんばらないと、いいものはできないし」

《たった今帰ってきたんでしょ? もう10時じゃない》

「ちょっと今は、なかなかコレ!っていう食材が見つからなくてバタバタしてるから……もうちょっとしたら、たぶん落ちつくよ」



侑子には見えないとわかっていても、へらりと笑みを浮かべながら答えた。

少しの無言のあと、電話口から大きなため息が聞こえてくる。



《ほんとに……ちゃんと、しっかり休みなよ》

「ありがと。侑子さま優しい~」

《茶化さないの。ほらほら、ちゃっちゃとやること済ませてさっさと寝る! おやすみ!》
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