バッドジンクス×シュガーラバー
自分から電話をかけてくれたくせに、ものの1分であっさり切ってしまった。

ドライなようでいてとても思いやりのある同期兼友人の言葉にじーんとして、通話の切れたスマホ画面をしばらく眺める。

家族も、友人も、同僚も、上司も……私の周りには、優しい人たちばかりだ。

自分は、こんなにもダメな人間なのに。たくさんの人に支えられて、なんとかやって来れている。

その優しさに応えたい。9月発売の新商品、最高の形で出せるようにがんばらなくちゃ。

とりあえず今目指すのは、1週間後に予定されている部長プレゼンをクリアすることだ。

スイーツグループの責任者である久浦部長に試作品を食べてもらい、その完成度によってこのまま企画を進めていいかの是非が決まる、大事なイベント。

よし、と声に出さず意気込み、ソファから立ち上がる。

会社でおにぎりを食べたから、夜ごはんはいいや。

とりあえずシャワーを浴びて、それから寝る前にまた少し、もっといいものにできないかいろいろ考えてみよう。

身体的な疲労はもちろんあるけれど、精神面は充足感で満ちている。

明日また会社に行くのが待ち遠しくて、そんな自分の心境に驚きながらも、こんなふうに前向きでいられることがうれしい。

1日分の疲れで多少足取りは重くとも、私は弾んだ気分でシャワーの準備をするのだった。
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