バッドジンクス×シュガーラバー
ゴツゴツした男らしい指先が紙皿の上の焼き菓子を持ち上げ、口もとへと運んでいく。
そうして大きなひと口で頬張ったそれを咀嚼する一連の流れを、固唾を飲んで見守った。
「……生地の口どけが気になるな。舌の上に残る感じがイマイチ」
「……!」
椅子に腰かけ、じっくり味わいながらバッサリ放った久浦部長の言葉に、テーブルを挟んだ向かい側に立っていた私は一気に表情を暗くする。
そして部長は、変わらないトーンでさらに続けた。
「けど、ちゃんと紅茶の香りがしっかり感じられるな。中のクリームとのバランスも及第点だ」
一瞬、呆然としてしまった。
そんな私を見上げて目を合わせた久浦部長が、薄く笑みを浮かべてうなずく。
「方向性はいい。この調子で引き続きやってくれ」
「あ……っありがとうございます! もっといいものにできるように、がんばります!」
ぱあっと表情を明るくし、勢いよく頭を下げた。
その直後、後方にあるドアのあたりからなんだか騒がしい声やガタガタという音がして、思わず後ろを振り向く。