バッドジンクス×シュガーラバー
なんとか自力で立とうとするけれど、久浦部長の腕に寄りかかったまま身体を動かせない。

と、不意に部長が「少し我慢しろ」と耳もとでささやいたと思ったら、背中を支える右腕はそのままに左手をひざの裏に回され、軽々と抱き上げられてしまった。



「俺が医務室に連れて行く。おまえらは先に戻ってろ」



驚いてとっさに押し開けた目を白黒させる私を余所に、久浦部長は何でもない様子でえみりさんと牧野さんのふたりへ指示を出す。

思わず声を上げかけるけど、部長に「黙ってろ」と釘を刺され反射的に口を噤んだ。


「ぶ、部長……すみません、あの、私」



歩き出した部長の腕の中で揺られながら、まだ抵抗する気力のない私は小さくなって謝罪する。

久浦部長はチラリとこちらを一瞥しただけで、再び前を向いた。



「まったく。張り切るのはいいが、ほどほどにしとけ」



その声音に怒りはなく、呆れや心配だけがこもっていたけれど……じっくりと考える余裕のない私は両手を胸の前で組み、申し訳なさからさらに身体を縮ませた。
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