バッドジンクス×シュガーラバー
平然と話しながらあろうことかひたい同士をコツンとぶつけられて、情けない悲鳴が漏れた。

顔を離した久浦部長は腕の中で思いっきり硬直する私を見下ろし、可笑しそうに笑う。



「『ひっ』て。どうせなら、もう少し色気のある声を聞かせろ」

「いろっ、色気?! そんなの、持ち合わせていませんし……っというかあの、もう本当に、私は大丈夫ですから……!」



だから降ろしてくれという意味で言いながら、控えめに部長の胸を押した。

だけど久浦部長は降ろすどころか、むしろさっきまでより力を込めて私の身体を抱き抱える。

必然的にふたりの密着度が上がり、またもや「ひぇ……」とへなちょこな声が漏れ出た。

そんな私の耳もとに久浦部長が顔を寄せて、ささやく。



「本当に小糸は小さいな。ちゃんと自重しないと、うっかり壊しそうだ」



壮絶な色気を含んだそのセリフに、ゾクリと背筋が震えた瞬間。

私の中で、何かが弾けた。



「……いい加減に、してください!」



思いのほか大きな声が出たことに自分でも驚きながら、それでも、意を決して至近距離にいる人物を必死で睨み上げる。



「なんなんですか、もう……っな、なんでそんな、私に構うんですか……っ?!」



先ほどよりも強い力でグイグイと部長の胸を押しつつ、その瞳を見つめて言い放った。
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