バッドジンクス×シュガーラバー
呆気にとられながら一部始終を見ていた常駐の保健師の女性が、完全にドアの閉じたタイミングで口を開く。



「もしかして小糸さん、あの久浦部長と付き合ってるの?」



……ああ、もう、わけがわからない。

私たちが付き合ってるなんて、そんな事実はないしありえない。

だけど、さっき久浦部長が見せた眼差しは、声は──とてもじゃないけど、“ただの部下”に対して向けるものとは、思えなくて。

そんな自惚れをしてしまう自分が、恥ずかしいのに……だけど心のどこかでは、その自惚れが勘違いじゃなかったらと願ってしまっていることにも、気づいている。

私は熱い頬を両手で包み込んで、うつむいた。



「ち、ちがいます……」



しぼり出した声も手のひらも、震えている。

強面で、口が悪くて、だけど頼りになってかっこよくて。

ものすごい強運で、厳しくも優しくて。

そんな直属の上司が、何を考えているのかまったくわからなくて──私はひたすらに、頭を混乱させていた。
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