バッドジンクス×シュガーラバー
けれど、私を見つめるその眼差しは、底抜けに優しく柔らかで──。



「……もし悪い話だったら、どうすればいいですか?」



思わず、そんなことをつぶやいていた。

一瞬目を丸くした久浦部長が、また笑みを浮かべる。



「そのときは、俺のところに来い。嫌っていうほど甘い物食わせて、慰めてやる」

「……なんですか、それ」



気づけば私も顔をほころばせていた。

隣の人物から視線を外して前を向き、少しだけ顎を上げて空を見る。

そこには雲ひとつない綺麗な薄いブルーが広がっていて、私の迷いを消す後押しになった。



「久浦部長」



空を見上げたまま呼ぶと、久浦部長が「ん?」と柔らかい声音で応えた。

私は晴れやかな気持ちで、また唇を動かす。



「……ありがとうございます」



返事の代わりに、久浦部長が私の頭をポンと軽く叩いた。

触れたその手を、微塵も嫌だと感じないのは──きっと、良くないことだと思うのに。

それでもどうしたって、部長の手のあたたかさは心地よかった。
< 133 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop