バッドジンクス×シュガーラバー
真摯な声音で放たれたセリフに、今日1番驚いて目を見開く。

西さんも、私と同じような反応をしているらしい。ややあって、彼女が詰めていた息を吐き出すのが聞こえた。



「……なんかもう、全然入り込む余地なしって感じですね」

「そうだな。申し訳ない」

「部長それ、本気で思ってます?」



すかさず返した西さんのその言葉はなんとなく笑みを含んでいるように思えて、彼女の強さにもまた私は驚く。

たった今失恋してしまったばかりとは思えない気丈さで、西さんが明るく言った。




「あーあ、こんなにキッパリと振られちゃうなんて……久浦部長の好きな相手、気になるなあ。どんな人なんですか?」



ああもう、本当に、次から次へと私の胸を騒がせる話ばかり聞こえてくる。

ギュウっとまた強く両手を握りしめながら、久浦部長の答えを待った。

逡巡するような少しの間のあと、部長が口を開く。



「……猫かな」



つぶやかれた言葉は意外なもので、思わず目をまたたかせた。

西さんも「猫?」と素っ頓狂な声を上げている。
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