バッドジンクス×シュガーラバー
今度こそたどり着いたエレベーターホールで下りのボタンを押し、無意識に詰めていた息を大きく吐き出した。

……早く。早く、このフロアからいなくなりたい。

焦れている私は、ボタンの上にある現在地のインジケータを今か今かと見つめる。

そうして、ようやくやって来たエレベーターにすぐさま乗り込もうとしたのに──ちょうどこのフロアで降りた男性社員に、なぜだか話しかけられてしまう。



「あ、小糸さんお疲れさまー。今帰り?」

「えっ、あ、お疲れさまです……はい、帰るところです」



相手がすぐ傍らに立ち止まったため、私もその場を動かずに返事をした。

私がチラチラと横目で見ている先で、無常にもドアが閉まってしまうけれど……話しかけてきた男性は気にする素振りもなく、そのまま会話を続ける。



「異動してからもう2ヶ月半だけど、仕事は慣れた?」

「あ……えっと、はい……なんとか」



落ちつかず横髪を耳にかけたりしながら、失礼じゃない程度に視線を逸らした。

この人、同じフロアにある飲料部の人だ……今まで話したこと、あったっけ?

なぜこのタイミングで、しかもこんなにフレンドリーに話しかけられるのかわからないまま、それでも邪険にはできず当たり障りなく受け答える。

すると男性は、さらに不思議なことを言い出した。
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