バッドジンクス×シュガーラバー
そんな調子で時間は過ぎ、約1時間後。

とうとう、待ち人はやってきた。



「……本当に待ってたんだな」



個室の襖を外側から開けた稔が、俺と目が合った瞬間ボソリと漏らす。

しっかりそのつぶやきが聞こえていた俺は、口角をつり上げた。



「もちろんだ。大真面目にビジネスするつもりで来てるからな」

「その大真面目なビジネスをするとき、コズミック・マインドさんはいつもアポなしで取引先に乗り込むのか?」

「それに関しては悪いと思ってる。事前に連絡したら話をする前にあしらわれるかもしれないと、念のため対処した結果だ」

「まあ、否定はしない」



あっさり答えながら、稔がテーブルを挟んだ俺の目の前に腰を下ろす。

俺たちの会話を聞いていた小糸は、完全に顔がこわばっている状態だ。

少しでも場を和ませようと、また俺は口を開いた。



「そういえば、母さんは?」

「今日は駅前の店舗の人手が足りなくて、そっちの手伝いに行ってもらっている。あのあたりが祭りの時期で、いつもより客足が多そうだから」

「そうか。忙しくしているようで何よりだ」

「おかげさまで。まあ、大手コンビニ本社の部長殿には及ばないだろうけどな」



あ、まずい。地雷踏んだ。

視線を向けずとも、ギロリと眼差しを鋭くした稔を見て隣の小糸がさらに萎縮するのを感じ取る。
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