バッドジンクス×シュガーラバー
これはもう、さっさと本題に入った方がよさそうだ。心の中で盛大にため息を吐き、俺は切り出した。



「9月に、ここにいる小糸が発案した【和紅茶のマフィン】という商品を期間限定で売り出す予定なんだが……マフィンに使う肝心の紅茶の茶葉を、この【茶匠 ひさうら園】から仕入れたいんだ」



俺の言葉を聞いて、テーブルに用意していた企画書を小糸がすかさず稔に差し出す。

企画書を受け取り、稔はパラパラと捲り始めた。



「9月? ずいぶん急だな。あと2ヶ月もないじゃないか」

「白状すると、トラブルで当初の仕入れ先が使えなくなってしまったんだ。そこで同等かそれ以上の茶葉を探そうと考えたときに、ここの品質なら間違いないと思い至った。無理を言っているのは承知で、どうか協力して欲しい」



俺の話のあと、少しの間無言で書面に目を通す。

そうして稔が、パサリとテーブルに企画書を置いた。



「無理を言ってると自覚してるのなら、話は早い。申し訳ないが引き受けられないな。うちには、全国展開のコンビニと取引きするようなキャパは──」

「今年に入って、農園の規模を拡大したんだろ? それに通信販売で出ている分の在庫を、一時的にでもこちらには回せないか? 期間限定の商品だし、絶対に不可能ということもないはずだ」
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