バッドジンクス×シュガーラバー
あくまで真摯な姿勢は崩さず、滔々と意見を述べると、稔が口を閉じて眉を寄せた。

その反応を見て、俺はさらにたたみかける。



「うちで作る商品は、いってしまえば大量生産品だ。だけど開発の時点からひとつひとつの商品に丁寧に向き合って、一般の洋菓子店や和菓子屋にも引けを取らない本格的な味にするため尽力している。俺はずっと、いつか【茶匠 ひさうら園】のお茶を使った商品を作りたいと考えていたんだ。そのタイミングは今なんだと、確信している」



まっすぐ、視線を逸らすことなく断言した。

黙って話を聞いていた稔も、じっと俺の目を見返している。

そして不意に、テーブルの上の企画書へと視線を落とした。



「……その『いつか使いたい』と思っていたうちのお茶を、自分が考えた商品で最初に利用しなくてよかったのか? このお菓子は、隣にいる部下の女性が考えたものなんだろう」



稔のそのセリフで、小糸が身体をこわばらせたのがわかる。

だけど俺は、そんな彼女を横目にふっと笑みをこぼして見せた。



「ああ。この【和紅茶のマフィン】になら、譲ってもいい。最高品質の【茶匠 ひさうら園】の茶葉の良さを最大限に生かせる、うってつけの商品だ」



これは、誇張でも方便でもない本心だ。

小糸が驚いたようにこちらを向いたのがわかったが、俺はただ、目の前にいる稔を見てさらに続ける。
< 173 / 241 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop