バッドジンクス×シュガーラバー
「それに俺はいつか、そっちから『ぜひうちの茶葉を使ってください』と言ってくるような商品を考えるからな。楽しみにしてろ」



我ながら悪どい表情でニヤリと口角を上げ、挑戦的に言い切った。

稔が一瞬、不意打ちを食らったように目を丸くする。

その後、吐き出す息とともに肩から力を抜いたのがわかった。



「相変わらずの強気だな。うらやましいよ、まったく」

「それはどうも。今度個人的に自己啓発セミナーでもやってやろうか?」

「全力で遠慮する」



キッパリと言った稔だが、その口もとはほんの僅かに緩んでいる。

するとこのタイミングで、部屋の外側から「失礼します」と声がかかった。

丁寧な所作で襖を開けて入ってきたのは、俺の義妹で社長夫人である菜乃花だ。

盆を持参した彼女が、室内にいる俺たちを見回してニコリと笑みを浮かべる。



「みなさん、そろそろひと休みしません? 新しいお茶とお菓子をご用意しました」



こちらが何か言う前に、持ってきたものを手際よくテーブルの上へ並べる菜乃花。

見れば、湯のみと茶菓子はちゃっかり彼女の分も数がある。

ニコニコと自分の隣に腰を落ちつけた菜乃花を見ながら、稔は若干呆れ顔だ。
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