バッドジンクス×シュガーラバー
「菜乃花……このふたりは、仕事の話をしに来てるんだぞ」

「知ってるわ。でも、もう話はまとまったんでしょう? どうせ断るつもりもなかったくせに」

「おい……」

「それに私、コンビニスイーツ大好きなんだもの! こんなに若い子がその開発をしてるなんて、ぜひお話を聞いてみたいわあ」



毒気のない菜乃花の笑顔と発言に押され、稔は言葉を失っている。

同じくポカンとしている隣の小糸に顔を寄せ、こっそり耳打ちした。



「察しただろうが、菜乃花はド天然なんだ。このふたりのやり取りを見ているとおもしろいぞ」

「そ……そうなんですね……」



唖然としつつ、小糸が小声でうなずく。

改めて菜乃花に勧められ、俺たちはお茶と茶菓子をいただくことになった。



「わ……! おいしいです、このお菓子!」



抹茶を使った和三盆糖の干菓子を口にした小糸が、感激したように声を上げる。

それを聞いた稔は、いつも客に見せる人当たりのいい笑みを浮かべた。



「当店で実際に販売しているお菓子です。これは抹茶味ですが、煎茶味もあるんですよ」

「そうなんですね。帰りに買おう……」



神妙な声音でつぶやきながら、小糸の顔は緩んでいる。

そんな彼女を見て、つい俺の口もともほころんだ。

正面にいる稔は、俺たちの様子を珍しいものでも見るような表情で眺めている。
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