バッドジンクス×シュガーラバー
「こちらから行ったときはあんな態度だったが、意外とノリノリのようだ。上手いことこちらのペースに引き込んでやれ」



直接見なくても、あの意地悪な笑みを浮かべているのだとわかる。

顔の近さと低い声にドキリとしながらも、努めて平静を装ってうなずき、自然に距離を取った。



「承知、しました。……がんばります」

「ああ。頼む」



さっきまでのイタズラっぽい態度を一変、久浦部長は引き締まった表情で答えると、踵を返してそのままオフィスを出て行く。

その後ろ姿をこっそり見守る私の脳裏によみがえるのは、3日前の金曜の夜……会社近くのイタリアンレストランで、友人の口から放たれた“ある”言葉。



『私、久浦部長のことが好きなの』



鮮明に思い出したそのシーンは、何度でも私の気分を沈ませる。

下唇を噛みしめ、人知れず陰鬱な気持ちでうつむいた。
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