バッドジンクス×シュガーラバー
「改めてご挨拶申し上げます。私は【茶匠 ひさうら園】の代表、久浦 稔と申します」



その日の午後。

紅茶用の茶葉を栽培している茶園の責任者だという中年の男性を伴って約束の時間に現れた稔さんは、野性的な面立ちとは裏腹の優美な仕草で一礼しながら挨拶をしてくれた。

応接室のテーブルを挟んで向かい合うこちらのメンバーも、同じく椅子に座ったままお辞儀で応える。

この場にいるコズミック・マインド側の人間は、久浦部長と仕入れ担当の牧野さん、そして私の3人だ。

打ち合わせは滞りなく進み、無事に当初の発売予定とずれることなく【茶匠 ひさうら園】の茶葉を使わせてもらえることが決まった。

条件等の擦り合わせがひと通り済むと、少しの時間談笑したのち、このあとまた別の予定が入っているという相手方のおふたりをエレベーターホールまでお見送りする。



「ご兄弟とはうかがっておりましたが……本当に似てらっしゃって、お会いしたときは驚きました」



先頭を歩きながらしみじみと話す牧野さんに、今日はスーツ姿の稔さんが斜め後ろで笑みを浮かべた。
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