バッドジンクス×シュガーラバー
その事実がうれしくて胸がいっぱいの私は、自分に向かって伸ばされる手から逃げようともしなかった。

久浦部長の大きな手のひらが、私の頭のてっぺんにポンと載る。



「驚かせたな。悪かった」

「お、驚いた、なんてものじゃ……っ」

「そうだな、すまない。あと──さっき聞いたセリフは、取り消し不可だからな」



思いがけない言葉に、つい「え?」と間抜けな声が漏れた。

久浦部長は、そんな私を見て意地悪く口角を上げる。



「『あなたに好きって伝えてない』。言質は取ったぞ」

「あ……!?」



ボソリとつぶやかれた覚えのあるフレーズを聞いて、一気に顔が熱くなった。

すぐさま否定しなければと思い、だけど私は、それをやめてしまう。

だって、もう──これから先もずっとこの気持ちをしまい込んでいることは不可能だと、わかってしまったから。



「……はい。部長は私の、1番大切な人です」



きっと、今の私の顔は部長のシャツと同じくらい真っ赤に染まっている。

観念して小さく答えると、直後は目を丸くした久浦部長が苦々しげに表情を変化させた。



「そういうことを……こんなタイミングで、聞かせてくれるな」

「えっ……あ、えと、ごめんなさい」

「怒ってるわけじゃなくて……ああもう」



なぜかもどかしそうにため息を吐く部長と、訳がわからず首をかしげる私。

そんな私たちの会話に割って入るのは、ずっと傍らにいた牧野さんとえみりさんだ。
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