バッドジンクス×シュガーラバー
「憂依……っ!」
定時で仕事を終えた直後、そそくさとオフィスをあとにしようとしていた私を廊下の途中で引き留めたのは侑子だった。
どうしてこんな時間、このフロアに侑子がいるんだろう。
疑問に思ったけれど、それを口にするより早く駆け寄ってきた彼女に両肩を掴まれたことに驚き、息を呑む。
私よりも幾分背の高い侑子は、こちらを見下ろしてなぜだか泣きそうに顔を歪めていた。
「ごめん、憂依。私、最低だった。本当に最低な、嘘つきだった」
「え? えっと、何が──」
「久浦部長のことが好きって……あれ、嘘なの」
予想もしなかった告白に驚き、言葉を失う。
呆然とする私に、未だ苦しげな表情をした侑子が話を続けた。
「優しい憂依は、私がああ言えば、気を遣って久浦部長から離れるってわかってた。だから、あんな嘘をついたの。憂依がどんどん、久浦部長に惹かれていくのを目の当たりにして……私、憂依が自分から離れていってしまうんじゃないかって、こわくなった。友達の……私のことなんて、どうでも良くなるんじゃないかって」
「そんなこと……!」
私がとっさに声を上げかけると、彼女はさらに肩を掴む手に力を込めた。