バッドジンクス×シュガーラバー
彼女が驚くのも無理はない。これまでの経験では、私とかかわったばかりにジンクスが発動した男性は、その当日か翌日には何らかの不幸に見舞われているのだ。

にもかかわらず、久浦部長はすでに4日も私のジンクスによる不幸を回避していることになる。

それどころか昨日なんて、出勤時に現金が10万円も入った財布を偶然拾って交番に届けたらしく、また同僚たちが「どれだけ引きが強いんだよ」と感心していた。

私のせいで悪いことが起きるどころか、相変わらずの強運っぷりも健在。

本当に久浦部長は、今まで会った誰とも違っている人だ。

ふと、テーブルの向こうの侑子が詰めていた息を吐き出す。



「なんかとんでもないくらいツイてる人だっていうのは、聞いたことあったけど……本物なのね、あの強面部長」



そのつぶやきがなんとなく引っかかり、ちらと視線を上げた。



「侑子、久浦部長のこと知ってたの?」

「新商品のPR戦略の件で、話を聞くことあるから。あの若さで部長やるだけあって、キレ者だなとは思う。貫禄あるわよね」

「うん。顔こわい……」



神妙にうなずいた私になぜか侑子は苦笑してから、ずいっとこちらに身を乗り出してくる。
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