バッドジンクス×シュガーラバー
小糸はどうやら、俺がなかなか出社してこないことをかなり不安に思っていたらしい。
俺の顔を見るなりものすごい勢いで掴みかかってきたかと思えば、直後にボロボロと泣きじゃくり始めた。
ひとまず他の社員たちの目に触れないよう、ひとけのない場所に手を引いてやったが……正直、あのぐちゃぐちゃの泣き顔もかなり俺の嗜好をくすぐって、不謹慎にも気分が高揚したことはさすがに胸の奥にしまっている。
とにもかくにも、俺は彼女のジンクスを跳ね除けてみせたのだ。あれからさらに10日ほどが経過したが、こうして何の問題もないまま酒の席を楽しんでいるのが証拠である。
まさかこんな形で、自分の運の強さに感謝する日が来るとは……世の中、何が起こるかわからない。
──“久浦 佑はとてつもない強運の持ち主だ”。
最初に周りからそんなふうに言われたのは、果たしていつの頃だったか。
もうハッキリとも思い出せないが、とりあえず俺自身にも思い当たる節はあったので「そうかもな」と適当に流していたら、気づけば周囲の人間たちにその認識が浸透していた。
学生時代の友人なんかは「めちゃくちゃ強い守護霊でも憑いてるんじゃないか?」なんて冗談っぽく言ってきたものだが、本当のところは謎のままだ。
この体質を見込まれ、運が結果を左右する場面に駆り出されることは多い。しかし、結局は俺も普通の人間だ。思い通りにならないケースだって当然起こる。
それでも周囲には成功例ばかりが深く印象に残り、そもそも俺は純然たる事実としてツイていることが圧倒的に多かったため、“強運”というフレーズは今日に至るまで俺の代名詞のようになっているのだ。
俺の顔を見るなりものすごい勢いで掴みかかってきたかと思えば、直後にボロボロと泣きじゃくり始めた。
ひとまず他の社員たちの目に触れないよう、ひとけのない場所に手を引いてやったが……正直、あのぐちゃぐちゃの泣き顔もかなり俺の嗜好をくすぐって、不謹慎にも気分が高揚したことはさすがに胸の奥にしまっている。
とにもかくにも、俺は彼女のジンクスを跳ね除けてみせたのだ。あれからさらに10日ほどが経過したが、こうして何の問題もないまま酒の席を楽しんでいるのが証拠である。
まさかこんな形で、自分の運の強さに感謝する日が来るとは……世の中、何が起こるかわからない。
──“久浦 佑はとてつもない強運の持ち主だ”。
最初に周りからそんなふうに言われたのは、果たしていつの頃だったか。
もうハッキリとも思い出せないが、とりあえず俺自身にも思い当たる節はあったので「そうかもな」と適当に流していたら、気づけば周囲の人間たちにその認識が浸透していた。
学生時代の友人なんかは「めちゃくちゃ強い守護霊でも憑いてるんじゃないか?」なんて冗談っぽく言ってきたものだが、本当のところは謎のままだ。
この体質を見込まれ、運が結果を左右する場面に駆り出されることは多い。しかし、結局は俺も普通の人間だ。思い通りにならないケースだって当然起こる。
それでも周囲には成功例ばかりが深く印象に残り、そもそも俺は純然たる事実としてツイていることが圧倒的に多かったため、“強運”というフレーズは今日に至るまで俺の代名詞のようになっているのだ。