バッドジンクス×シュガーラバー
とはいえ、この感情をまだ小糸本人に悟らせるつもりはない。

親密とはいえないこんな関係の今知られたところで、ますます彼女は俺を避けてしまうだろう。

……さて、どうしたものか。

どうすれば、彼女は俺のものになる?



「悪いな石田、少し席を外す」



飽きずに自分の彼女にまつわる話を続けていた隣の部下にひと声かけ、座椅子から立ち上がった。

酒に弱い方ではないが、少し酔った気がする。手洗いに行ってから、ちょっと夜風に当たって頭を冷やそう。

早く戻ってくださいよ、なんて勝手なことを言っている部下を適当にあしらい、ふすまで仕切られた個室をあとにして息をつく。

それから手洗いを済ませた俺は、ドアを出てすぐの壁に誰かが寄りかかっていることに気づき足を止めた。



「……お疲れさまです、久浦部長」



背を預けていた壁から身体を起こし、そう声をかけてきたその人物は。
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