バッドジンクス×シュガーラバー
「単刀直入に言います。小糸さんにちょっかいを出すのはやめてください」
外に出て隣のビルとの隙間にある薄暗い路地に連れ込むなり、くるりとこちらを振り返った吉永さんが冷え冷えとした声音で言い放った。
少し考えてから、俺は答える。
「ああ、そうか。小糸と吉永さんは、知り合いだったか」
以前社員食堂で、ふたりが向かい合いながらランチをともにしている姿を見かけたことがあった。
そのとき吉永さんは見慣れない柔らかな微笑みを浮かべていて、失礼ながら驚いたのだ。
俺が返した言葉は彼女が望んだものと違ったらしく、あからさまにムッとした表情になる。
「同期です。彼女から、キスのことを聞きました。ありえませんしとても不愉快なので、今後一切小糸さんにそういうふざけた真似をしないでください」
よっぽど俺との会話を早く切り上げたいのか、吉永さんの言葉は端的でまったく容赦がない。
俺は顎に片手をあて、ふむ、とひとつうなずいた。
「そうか。『ありえないし不愉快』という意見はどうやら吉永さんのものみたいだが、小糸も同じことを言っていたのか?」
「……話をすり替えないでください。あのコの“体質”の話も聞いたんですよね? それに普通に考えて、恋人でもない男からキスなんてされたら嫌に決まってるでしょう」
「小糸本人にそう申し立てられたら、俺も考える。が、今こうして吉永さんが俺に詰め寄っていることを、小糸は知っているのか?」
外に出て隣のビルとの隙間にある薄暗い路地に連れ込むなり、くるりとこちらを振り返った吉永さんが冷え冷えとした声音で言い放った。
少し考えてから、俺は答える。
「ああ、そうか。小糸と吉永さんは、知り合いだったか」
以前社員食堂で、ふたりが向かい合いながらランチをともにしている姿を見かけたことがあった。
そのとき吉永さんは見慣れない柔らかな微笑みを浮かべていて、失礼ながら驚いたのだ。
俺が返した言葉は彼女が望んだものと違ったらしく、あからさまにムッとした表情になる。
「同期です。彼女から、キスのことを聞きました。ありえませんしとても不愉快なので、今後一切小糸さんにそういうふざけた真似をしないでください」
よっぽど俺との会話を早く切り上げたいのか、吉永さんの言葉は端的でまったく容赦がない。
俺は顎に片手をあて、ふむ、とひとつうなずいた。
「そうか。『ありえないし不愉快』という意見はどうやら吉永さんのものみたいだが、小糸も同じことを言っていたのか?」
「……話をすり替えないでください。あのコの“体質”の話も聞いたんですよね? それに普通に考えて、恋人でもない男からキスなんてされたら嫌に決まってるでしょう」
「小糸本人にそう申し立てられたら、俺も考える。が、今こうして吉永さんが俺に詰め寄っていることを、小糸は知っているのか?」