俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない

「これ、見つけてくれたんですか?」


以前、陽に写真を見せたことがあった。

このドレスとの出会いが、紬花にデザイナーの道を示したのだと話して。

だからもしや探してくれたのだろうかと驚いたのだが、陽は首を横に振った。


「そうじゃない。これは、俺の作ったものだ」

「えっ!?」

「大学時代、紬花と出会って、紬花をイメージして作った、紬花の為のドレスなんだよ」


将来を悩んでいた陽は、紬花のやりたいことを諦めず実行していく姿を見て、デザイナーとしての夢を貫こうと決めた。

そして、そんな紬花への感謝と想いを形にしたのが、このドレスなのだと陽は語った。

まさか、自分に夢を与えたウェディングドレスが、自分をイメージし、自分の為に作られたものだったとはと、紬花はいまだ繋がれたままの陽の手をキュッと握る。


「嘘みたいです」


再会でき、恋人という関係になれただけでも奇跡だと思っていたのに。


「だろう? 俺も、お前がこのドレスを見てデザイナーを目指したと聞いた時には、そう思った」


紬花の為に作ったドレスが、紬花を自分の元へと導いたのだ。

それは、奇跡であり、運命なのではないかと。

それならばやはり、紬花を諦めるわけにはいかない、と。


「ありがとうございます、陽さん……」


感動で潤んだ紬花の瞳に、愛おし気に微笑む陽が映る。


「紬花、近い将来これを着て、俺の隣に立ってくれるか?」

普段は少し鈍い紬花でも、その言葉がプロポーズだと十分に伝わり頬を染めてはにかむ。

「もちろんです!」

言葉と共に頷き快諾すると、紬花はたまらず喜びのままに陽の腕の中へと飛び込んだ。
ふたり、幸せそうに笑みを交わし合い口づける。
愛していると、繰り返し囁き合うように。


そして、一年後──。


「紬花、おいで」


運命のウェディングドレスを纏う紬花が、優しく差し伸べられた陽の手を取ると、幸福を約束する鐘の音が響いたのだった。



【FIN】

< 109 / 109 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:184

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
不慮の事故で 前世の記憶が覚醒した転生令嬢 上條美七(23) × 効率重視の冷徹心臓外科医 藤沢紘生(30) 「申し訳ないのですが、私はあなたを忘れてしまいました。 なので婚約を破棄していただきたいんです」 前世の裏切り者に似た人との結婚なんて絶対お断り 私は新しい人生を謳歌する なのに 「破棄するつもりはない。 俺にとって大事なのは、気持ちよりも効率だ」 回避できないどころか 「そんな言葉をいくら並べても意味ないわ」 「なら、どんな言葉なら俺に落ちてくれる?」 甘く迫られて――!? ※こちらは書籍版の試し読みとなります。
表紙を見る 表紙を閉じる
彼氏に騙され、貯金を全て失い 揚げ句の果てにうっかり死亡してしまった 料理好きOL莉亜(26) しかし神さまのくれたチャンスにより 憧れの乙女ゲーム世界に 主人公として生まれ変わる……はずが! 悪役令嬢【アーシェリアス】に転生! ●・○・●・○・●・○・●・○・●・○・ デリカシー出張中の剣士【ザック】 魔物の心が読める毒舌【ノア】 マンゴー中毒騎士【エヴァン】 日本の調味料を召喚する もふもふ妖精【シーゾー】 ●・○・●・○・●・○・●・○・●・○・ 「触れれば触れるほど、手離せなくなる」 ザックとの恋の行方は? 破滅エンドは回避できるのか…!? おいしいご飯を作りつつ 彼らと共に幻の料理を求める旅はフィナーレへ! ପ(○・ω・)ଓ  Are You Ready? ପ(・ω・○)ଓ ------------------ thanks review ------------------ tomomocakeさん
月夜見の女王と白銀の騎士

総文字数/102,239

ファンタジー165ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽ 君がどこへ行こうとも たとえそこが地獄でも 俺は君を愛し 守り抜くことを誓おう ✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽ 2020.3.27 START 2020.7.22 END 🌙attention🌙 こちらは書籍化しました「一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない(原題: 月夜見の王女と偽りの騎士)」の続編です。 書籍版より話を引き継いでおりますので、糖度も高めとなっております。 前作を読んでくださいました皆様に、感謝の気持ちをこめて!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop