売れ残りですが結婚してください
それが今の翠のシュウへの気持ちの現れなのだろう。

するとシュウが翠たちに気づき笑顔で手を振った。

もちろん翠に向けて手を振っているのだが、その破壊力は石神のほおを赤くさせるほどだった。

本当は少し顔を見てから帰ろうと思っていたが気持ちが変わった。

翠がどんな女性かシュウは一緒にいてわかったはずだ。

だからこそ彼が翠をどう見ているのか気になったのだ。

万が一翠に好意を持っていたとしても翠には許嫁がいる。

翠も許嫁と結婚をすると決めている。

これ以上ことを荒立てないほうがいいのではと思ったのだ。

それに石神自身も軽はずみな気持ちで翠とシュウのデートを後押ししてしまった後ろめたさがあった。


「先輩?」

翠に呼ばれて我に返った石神は翠に「せっかくだから挨拶だけしていい?」と尋ねた。

「はい、いいですよ」

翠は返事をするとシュウに一礼した。

するとシュウの方から駆け寄ってきた。

「お待たせしました」

「いや、僕も今来たところ」

するとシュウと石神の目があう。

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