売れ残りですが結婚してください
石神と別れ2人は美術館からほど近い場所にあるお店に入った。

イタリアンのお店らしいのだが、翠は会社の近くにこんな店があったことを全く知らなかった。
客のほとんどは女性やカップル。

カウンター席とテーブル席が10席ほどあり、各テーブルの上にはおしゃれなペンダントライトが照らしていた。

翠は落ち着きのない様子でキョロキョロと店の様子を見ている。

「こういう店苦手だった?」

シュウに聞かれた翠は小刻みに首を振った。

「い、いえ……おしゃれだなと思って……こういう店はてんで疎いので」

「そうなんだ。パスタとか好き?」

「パスタは好きです」

すると店のスタッフがボトルに入ったお水とグラス。そしてメニューを持ってきた。

シュウが「決まったら呼びます」とスタッフに伝える。

翠はというとイタリア語で書かれたメニューに目が点になっていた。

アンティパストやパスタ、ドルチェなど大きな文字は読めるがメニューそのものはイタリア語なのだろうか全く読めず、何を注文したらいいのかわからない。

そんな翠を見てシュウはクスッと笑った。

「翠は嫌いな食材はある?」

「あまりないです。強いて言えばナマコとかホヤとかウニも苦手です」

「見た目がグロそうなのが苦手なんだね」

「はい。想像しただけでダメですね」

翠の想像した顔にシュウは嬉しそうに翠を見ていた。
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