売れ残りですが結婚してください
特別展の方へ移動すると何故かカップルが異様に目立つ。

見ればキスをしている写真だけを集めた展示会だった。

男女のキスもあれば母と子や動物と人間。生き物同士のキスなどとにかくキスばかりだった。

キスの形も様々でソフトなものから情熱的なものまで。

見ているだけでキスしたくなるのだろうかカップルで見てるは自然と手を繋いだり、腰に手を回したりしている。

翠はというともちろんキスなんかしたことがないので、目のやり場に困った様子。

だがそんな初々しい翠をシュウは愛おしく感じていた。

だがやはり翠は何かの写真に引き寄せられたのか1枚の写真に釘付けになった。

女性が流した涙を止めるように男性が頬にキスをする写真だった。

翠は女性の流した涙の訳が知りたかった。

幸せのキス?それともさようならのキスなのか……。

翠には好きなにの別れを意味している様なキスにしか見えなかった。

その姿を複雑な思いでシュウは見ていた。


今回もまた美術館での滞在時間は2時間以上だった。

だがそれはシュウも想定内だった。

「随分遅くなってごめんなさい」

謝る翠にシュウは嫌な顔一つせず笑顔で首を横にふった。

実はシュウが考えていたデートはこれからがメインだったのだ。
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