求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~


私が感傷に浸ったのは一体どれほどなのか。
噂話に花を咲かせた女子社員だけじゃなく、化粧室には誰もいなくなってしまった。腕時計を見れば、時計の針は昼休みが終わる十三時まで残り五分だ。

ぼんやりしてたら、もうこんな時間!?

私は早足で化粧室を飛び出る。
すると、すぐそばの階段を上ってきた上原課長と出くわした。私達が所属する営業部、このフロアは七階だ。


「上原課長、お疲れ様です。一階から階段で来たんですか?」

「ああ、うん……。最近、お腹が出ちゃって。運動不足かなって」

上原課長は二重の瞳を細め、ぎこちない笑みを浮かべる。

お腹出てる? 全然そう見えないけど……。

濃紺のピンストライプのジャケットを見やるが、どこに無駄肉があるのか。
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