異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
――しかも、粒あんが。小豆を推せる。

「メグミ、作れ。出来上がり次第、すぐに出してゆく。そうだな、まず五個だ。私はそれを持って陛下とお客人のところへ行く」

ベルガモットはすぐ近くで肉類の皿に野菜を添えていた三人と、肉料理を運ぶ役をしていた二人を近くへ呼んで指示を出す。

「お前たち五人でメグミの補佐をしろ。メグミが指揮を執れ。私は料理の方から手が離せない。グラスは開いた分からすぐに下げて持っくるよう給仕頭に言っておく。メグミ。できるな」

「はいっ」

腹に力が入った返事になった。踵を返した彼女が、五個作ってベルガモットに渡せば彼はすぐに動き出す。最後に振り返ってメグミに言った。

「グラスにセットするのは、メグミがやれ。お前の繊細な細工をする手で、最後に仕上げをするんだ。いいな」
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