異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「でもね。陛下は小豆のためにそう言っているってお客様たちは考えるから動きが悪くてね。やっぱり菓子は女性を動かさないと。女たちを和菓子に誘うには、私のような者が一番だと思わない? ……メグミったら、ねぇ」

メグミは完全に寝入ってしまった。ローズベルはメグミと話すのを諦めて、足音を忍ばせつつ部屋を出て行った。

深い眠りの中でメグミは思う。

自分に場を与えてくれたコンラートに、栗を分けてくれたベルガモットに、助けてくれたローズベルに。

――ありがとうございました。
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