異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
調理場に残って座ったままのベルガモットは、ふぅと深いため息を吐く。するとそこに、明るい女性の声が掛けられる。
「メグミの鈍さじゃ、『一緒に郷里へ行ってくれないか』と言わない限り、少しも通じないと思うわ」
開いている扉のところに立っていたのは、ブロンドの美女ローズベルだった。
見事なドレス捌きでベルガモットに近づく。
「聞いておられたんですか」
「侍従がメグミを捜していたから、こちらへ連れてきたのよ。それだけ。そのうちまたチャレンジすればいいんじゃない?」
ベルガモットは静かに首を横に振る。
「タイミングを掴めず言い損なったということは、これが運命だからなのでしょう」
料理のときもタイミングは大切だ。最上の時に火を入れ、塩を振る。それができてこそ最上の料理が出来上がる。彼は根っからの料理人だった。
ローズベルは、調理場の椅子に座っている彼の前に立つ。こうすると、いくら背の高いベルガモットでも、顔の位置は彼女よりも低い。
「タイミングが運命……? じゃ、誰もいないここで、私があなたの手を握って好きと言ったら、それは運命なの? 小さいころ王城で迷って泣いていた私にキャンディをくれたのは? それも運命ってことね」
「は?」
それはどういう意味かと訊こうと思って顔を上向きにそたベルガモットは、彼を見つめるローズベルと真正面から目を合わせることになった。
「メグミの鈍さじゃ、『一緒に郷里へ行ってくれないか』と言わない限り、少しも通じないと思うわ」
開いている扉のところに立っていたのは、ブロンドの美女ローズベルだった。
見事なドレス捌きでベルガモットに近づく。
「聞いておられたんですか」
「侍従がメグミを捜していたから、こちらへ連れてきたのよ。それだけ。そのうちまたチャレンジすればいいんじゃない?」
ベルガモットは静かに首を横に振る。
「タイミングを掴めず言い損なったということは、これが運命だからなのでしょう」
料理のときもタイミングは大切だ。最上の時に火を入れ、塩を振る。それができてこそ最上の料理が出来上がる。彼は根っからの料理人だった。
ローズベルは、調理場の椅子に座っている彼の前に立つ。こうすると、いくら背の高いベルガモットでも、顔の位置は彼女よりも低い。
「タイミングが運命……? じゃ、誰もいないここで、私があなたの手を握って好きと言ったら、それは運命なの? 小さいころ王城で迷って泣いていた私にキャンディをくれたのは? それも運命ってことね」
「は?」
それはどういう意味かと訊こうと思って顔を上向きにそたベルガモットは、彼を見つめるローズベルと真正面から目を合わせることになった。