異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
小豆の栽培にも力を入れる必要がある。
「毎年同じ土ではうまく育たないみたいですね。テツシバでは庭を三つに分けて使っています」
「そうか。では俺の方も畑を広げて半分休ませながら続けることにしよう」
メグミは、小豆に名前を付けてはどうかと提案する。
商法や特許の定めがないこの異世界には、そういった考え方はないだろうが、そうすることで万が一ほかで栽培されても、ヴェルムの小豆は違うものだと表示できる。
「小豆の栽培方法は極秘にしている。実際、育てて乾燥して、と半年以上掛けるものだから、そう簡単に他国でやってゆけるとは思えないな。だが、名前か。いいかもしれない」
「ヴェルムの小豆ですから“ヴェルム小豆”はどうでしょうか。名前に産地を入れると、もう一度買おうというときに役立ちます」
「その通りだ。メグミは不思議だな。良くそういうことを思いつくものだ」
苦笑する。元の世界にあったというだけで、彼女が考え付いたわけではない。
――もしかしたら、元の世界に当たり前にあることが、こちらの世界では非常に役に立つのではないかしら。
電気にガスとかのインフラや、電気用品など技術面はどうしようもない。ただの和菓子職人なのだから。しかし、なんでもないことが妙案としてコンラートのためになるなら、機会がある限り考えてゆきたい。
「毎年同じ土ではうまく育たないみたいですね。テツシバでは庭を三つに分けて使っています」
「そうか。では俺の方も畑を広げて半分休ませながら続けることにしよう」
メグミは、小豆に名前を付けてはどうかと提案する。
商法や特許の定めがないこの異世界には、そういった考え方はないだろうが、そうすることで万が一ほかで栽培されても、ヴェルムの小豆は違うものだと表示できる。
「小豆の栽培方法は極秘にしている。実際、育てて乾燥して、と半年以上掛けるものだから、そう簡単に他国でやってゆけるとは思えないな。だが、名前か。いいかもしれない」
「ヴェルムの小豆ですから“ヴェルム小豆”はどうでしょうか。名前に産地を入れると、もう一度買おうというときに役立ちます」
「その通りだ。メグミは不思議だな。良くそういうことを思いつくものだ」
苦笑する。元の世界にあったというだけで、彼女が考え付いたわけではない。
――もしかしたら、元の世界に当たり前にあることが、こちらの世界では非常に役に立つのではないかしら。
電気にガスとかのインフラや、電気用品など技術面はどうしようもない。ただの和菓子職人なのだから。しかし、なんでもないことが妙案としてコンラートのためになるなら、機会がある限り考えてゆきたい。