異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
コンラートは以前からメグミに告白する機会を待っていた。しかし、なかなか巡ってこない。第一に、彼は忙しすぎる。

新年の夜会は非常に大切な催しだった。

戦いで明け暮れした近年の泥沼からもっともはやく立ち直るのはどの国になるのかと諸国で競っているような状態の中で、ヴェルム王国は安泰だと周囲に広める場にするつもりで開催した。

そのために多くの国へ招待状を送り、迎え入れ、王都の繁栄を見せつける。この国には経済が伸びるための安定がこの国にはあると示す。

他にはないものがこの国にはたくさんある。例えば、小豆、そして和菓子、さらには醤油等々だ。

メグミは彼の目的に大きな力を添えてくれる。

しかし、それと彼自身の気持ちは別なものだ。

コンラートの精神を満たすことができる存在。しかも、彼の甘いもの好きも満たせる。好きにならずにおられようか。

「……好きだ。何を置いてもお前を守りたい。好きだ。愛している」

彼女の肩を握った手に力を込める。もっと引き寄せてもっと強く抱きしめたい。
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