異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「メグ」

コンラートは自分の肩に凭れかかった彼女の顎に手を添える。そしてゆっくり顔を上向きにさせ、そして。彼はメグミの顔を凝視することになる。

「メグ……。おい、眠っているのか? ――いつからだ?」

起こそうとして、やめる。

「夜会の前の晩はほとんど徹夜で、夜会はすさまじく忙しかったと聞いたが、それでも今日は休んでいただろうに。疲れが取れなかったのか」

長い長い息を吐いた。

疲れている彼女を無理に起こしてまで自分の告白につき合わせるのか?

――否だ。

「戻るぞ。歩けないのか? 仕方がないな、運んでやる。ほら片方の腕を俺の首に回せ」

ベンチでくたりとしている彼女にマントを着せかけて前のボタンを一つ留めると、薄目を開けたが反応しない彼女の手を掴んで誘導する。
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