消えないで、媚薬。
「気が利くし子供たちにも人気だったしああいう子が先生になると私たちも楽よね〜男性保育士もまだまだ少ないし」
すみません、彼きっと保育士にはならない…はず。
“近くで見たかったから…”ってどういう意味なんだろう?
家で散々近付いてきてるじゃん。
キス……だってしてるのに。
「カホ先生?どうしたの?顔赤いけど」
ハッとした。
ヤバイ、変なこと考えてしまってた…!
顔が熱い…!
「えっ!?いや、大丈夫…です」
「ほとんど在校生につきっきりで教えてたし疲れたでしょ?ミクちゃんも指名入ってたしね」
「今日は早めに上がろう?」
「じゃあ、これだけ終わらせて上がります」
今日は本当に疲れたから牛丼でも買って帰ろ。
スクーターで家路につくとひょっこり現れる石川くん。
昼間のジャージ姿とは違ってジャケットコーデで大人っぽい。
玄関に入れた途端、抱き寄せられる。
早いってば……靴、脱ごうよ。
牛丼も置かせて?
「ずっとこうしたかった……」って言いながらお腹の虫が鳴ってる。
やっぱこの匂い嗅いじゃうとお腹鳴るよね。
クスクス笑い合いながら中に入る。
とりあえず食欲満たそっか?
2つ買って来たから一緒に食べよう?
「あ…!」
「どうしたの?」
蓋を開けて気付いた。
よっぽど疲れていたのか、いつも紅しょうが抜きにしてたのに言い忘れてた。
だから蓋をひっくり返してそこに出していたらその手を止めてくる。
「紅しょうが、嫌いなの?」
「えっと……うん」
「香帆さんの苦手なもの発見〜!じゃあ俺が食べる」
そう言って紅しょうがを掴んだ私の箸のまま口に入れた。
「好きなんだ?じゃあこっちに入れてあげるよ」