消えないで、媚薬。



残りの紅しょうがを彼の牛丼に入れようとしたけどまたそのまま口に運ぶ。
コホッと咳き込んで慌てて水飲んでるから可笑しくなった。




「ヤバ、紅しょうが立て続けに食うもんじゃないね?」




一人のご飯だとこんなことはまず起きないから、久しぶりに家で声を出して笑ったかもしれない。
ガツガツ食べてる姿も見てて気持ちいい。
彼の方はメガ盛りにして正解だったかも。




「今日はびっくりさせられっぱなしだったよ?本当、勘弁してよね」




「間近でカホ先生見れて嬉しかった」




「それにお茶もそうだし急に写真撮るしやりたい放題じゃない」




「だって慌ててる香帆さん可愛いんだもん。それに写真は絶対撮りたかったの!家じゃ見れない格好だし、先生してる香帆さんの顔、貴重だし」




「だからって大胆過ぎるのよ、もうちょっと危機感持ってよね?」




「どんなふうに?」




グッと身体を近付けてくる。
顔を覗き込んで視線を煽いでくるから仕方なく合わせた。




「言ったでしょ?外では馴れ馴れしくしないでって」




「はーい。でも今は良いんでしょ?」




「えっ!?いや、そういう意味じゃ…」




「え?なんで?じゃあ、いつだったら香帆さんにキスして良いの?」




「なっ!ダメ!いつでもダメ…!」




「え〜?約束したじゃ〜ん?」




「外であんなことしたんだからペナルティーよ!」




グスン…と泣きマネなんかに騙されないんだから。
お茶を流し込んでごちそうさま。
片付けようとしたら抱きついてくる。




「甘えちゃダメ?」




「え…?」




耳元で言わないでよ。
また心拍数上がる。







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