消えないで、媚薬。



「本当はずっとこうしたいの我慢したし、お手伝いはちゃんと出来てたでしょ?」




「うん……皆褒めてたよ」




「じゃあ、ペナルティーじゃなくてご褒美だよね?」




「は?何でそう…っ!」




だから人の話を聞け…!
顔向けた瞬間にキスしてきた。
柔らかいキス。




「食後のキス……牛丼の味」




ムードもへったくれもないけどまた応じてしまった。
強引にも彼のペースに持っていかれてる。
仕切り直ししなきゃ。
おかわりしそうな彼の唇を止める。




「コーヒー入れるね」




キッチンに逃げて後片付け。
ケトルをセットして洗い物していたら背後に気配。
案の定手が伸びてきて後ろからハグされる。




「ちょっと……!」




両手が塞がっている状態を利用して肩に頭を乗せてきた。




「香帆さんを充電………」




そんな身体くっつけられたら意識しちゃう。




「もうお湯が沸くから待ってて」




もう片方の肩に頭を移動して
「それまでこうしてたい」って今日はやけに甘えてくる。




「私が動けないんだけど?」




ようやく頭が離れたかと思いきやクルリと回されて向かい合わせになった。
ケトルのお湯が沸いたのに、もう重なる唇。
腕をトントン叩いて知らせるも恋人繋ぎされて降ろされる。




あぁ、これ長いやつだ………
受け止めるのに必死になるやつ……
頭の後ろも押さえられて逃げれない。
さすがにこれはヤバイ。
石川くんも全然止める気配ないし…
絶対スイッチ入ってる…!




密着した身体の隙間を這って両手で頬に触れ彼を止めた。
乱れた吐息と熱を帯びた瞳。
まだだよ…と言われてる気がした。
でもダメ……頷くだけで伝わるかな?






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