消えないで、媚薬。



不安そうな表情。
再び肩に頭が乗ってきた。
彼の体温が伝わってくる。
だからそれがダメなんだってば……
強く出れなくなる……




「こうしてるだけでいいんだ……俺を助けて……充電させて?」




「何かあったの…?」




「うーん、思春期ってやつ?気持ちの切り替えが上手くいかない感じ」




何となく誤魔化された気がするけど……
私には分からない葛藤があるのかも。




「今のところ香帆さんだけが救い……だからそばに居て?」




そんなふうに言われたら私はどうすればいいの……?
ドキドキが伝わりそうで怖くなる。
なるべく距離を取りたくて離れようとすればするほど彼に腰から引き寄せられる。




再びキスされるくらいなら……
いっそ私の方からリアクション取れば納得してくれる…?




それは言葉でもない。
キスでもない。
ただ優しく抱きしめるだけ。
髪を撫でて背中をさする。
そしたら彼も私の背中に手を回した。




しばらくして顔を上げた彼は真っすぐ私を見てこう言うの。




「もう一回……ダメ?」




瞳を見れば何を指しているのか自ずと分かる。
凄く欲しそうな顔。




「我慢……出来ないの?」




「うん…」




そういうところは素直なんだね。
全力で認めてくる。
純粋な瞳………
私はこの瞳に弱い。




「今日はこれで最後だからね?」




「うん…」




もう自分が分からない。
結局また自分から手を差し伸べてる。
Tシャツを引き寄せ唇を重ねた。
深くならないように躊躇しながらしても彼の想いが溢れ出て反応してしまってる。




もう完全に溺れてる………




彼が欲しくなってる………







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