消えないで、媚薬。



見つめ合う視線。




「だいぶ、酔ってますよね?」




「フフン、全然…」




「目が据わってる…」




遠くに居たはずのさとみが
「わ、すみません!ちょっと香帆、酔い過ぎ」ってこっちに来たから咄嗟に動いてしまった。




両手を彼の首に回して唇を重ねた。




周りの目とかまるで気にしない。
目の前の彼だけが私の本能をくすぶっている。
絡みながら心の奥が疼いた。
どんどん大胆になる。




唇が離れてもまだ欲しそうな顔。
近くで顔面蒼白なさとみに対して言った。




「ごめん、先に帰るね?」




「う、うん……」




手を繋ぎその場から離れる。
曲がったところで再び壁に押し倒す。
私だってまだ足りない……
離れてはくっついて……何度も求め合う。
彼とのキスは気持ち良くて腰が砕けそう……




いつの間にか彼の方も私を押し倒してる。
吐息を整えながら彼は耳元で囁いた。




「こんな事されたら帰したくなくなる……」




「じゃあ……ちょっとだけ付き合って」




確か、こんな風に言ったんだと思う。
この辺から記憶が曖昧で……
ズキズキ痛む頭を抱え目を覚ましたら。




見慣れない天井。
微かに聞こえるBGM。
大きなキングサイズのベット。
頭痛い………
隣で寝息を立てている知らない男の人……




「え、ダレ…!?」




まさかと自分の体を見下ろす。
ヤバ……服着てない。
相手も勿論着ていない。
これってやっぱヤッちゃったってやつ?




落ち着け、冷静になれ。
スヤスヤと眠る相手を見つめる。
私……この人と……?
ていうか、かなり若くない!?
適度についた筋肉や胸板に目が行き、ハッと我に返る。







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