消えないで、媚薬。
えっと、さとみには隠さない方がいいよね?
全部知られてる訳だし。
今後も相談に乗ってもらいたいし。
「要求っていうか、お願いされたことなんだけど……その、」
「なーに?勿体ぶらないでよ」
「えっと……ほら、社会人と未成年じゃん?一度の過ちとは言え、二度三度という訳にはいかないからもう関係を持つのは拒んだのね?私が。それでも付き合って欲しいって言われて…きっといずれ気が変わるだろうからフラれるまでの期間だと渋々OKしたんだ」
「ただのOLじゃなくて保育士の手前ね……幼稚園まで来られても困るしね?」
「うん、それで人目を避けるには家で会うしかなくて……」
「香帆の家で?あげたんだ?」
「うん、それも悩んだんだけど他に思いつかなくて」
「ひとつ屋根の下も相当ヤバイよね?いや、彼の方が我慢するの大変そう…」
「で、要求というかお願いされたのが…一線越えないように頑張るからキスだけは取り上げないで欲しいって…」
ダメだ、言いながら凄く恥ずかしい。
あの瞳で言われた時を思い出してしまう。
「え?キスだけはして欲しいってこと?」
「うん……」
「それって会うたびだよね?キスだけで終われるの?え、チュッてやつ?軽めの?」
「最初から……結構ガッツリめの」
私、何を説明してんだ?
聞いてくれてるさとみも赤くなってる。
妙に興奮気味になられてる。
「それはそれは…香帆も大変だね?素性知ってしまった仲とは言えキスだけはする関係で…一応建前では付き合ってるって…ヤバ、混乱してきた」
「だよね?私もそう……」
「付き合ってるのにキス止まりか……相手のこと考えると手は出せないよね」