消えないで、媚薬。



“コレ(同窓会)をきっかけに少しずつ予定入れたりして彼と距離置いてみなよ”とさとみにアドバイスされた。
確かに休みのたびに会ってたんじゃなかなかフッてくれないかも。




「同窓会って……お酒飲むんだよね?」




「え?ああ……そうだね?」




「ダメ!絶対飲まないで…!」




「え?そんな飲まないけど?」




「烏龍茶にして」




「烏龍茶って……」




飲まないキャラでは通らないぞ。
さとみだって居るのに。
何でそこまで言うのか…?
ハッ…!まさか…!!




「酔った香帆さん、誰にも見て欲しくない…」




やっぱり……
出逢った時の私を想像してるんだよね?




「あの時は知らない人たちばかりで、初めての合コンだったし慣れてなくてお酒の力を借りたと言うか…」




「もしかして…俺じゃなくてもキスしてた?」




「え…?」




それは………ない。
記憶が断片的だけどキミに惹かれたことは覚えてる。




「って、覚えてないんだよね…」




「ごめん……」




本当は嘘……
慶太だからこそキスしたんだと思う。
誰でも良かったんなら手っ取り早く合コンメンバーでしてるはずだよ。
最初に声かけられた時はそれどころじゃなかったけど、2回目の外で会った時は勝手に身体が動いてた。




でも、今はフラれ待ちだから期待させるようなことは言えない。
だから都合よく覚えてないフリ。
ごめんね………




ギュウ…と横から抱きしめられて心臓が飛び跳ねてる自分も気付いてないフリ………




「心配だよ……少量でもお酒飲むんなら…あの香帆さんは俺だけが知ってる香帆さんであって欲しい…」




こんなこと言われて顔が火照らない訳ない。







< 33 / 94 >

この作品をシェア

pagetop