消えないで、媚薬。
「いや……もういい大人だし、同じ失態はしないよ?ちゃんと学習してるから」
ひぇ〜!顔が近いよ。
少しでも見上げれば絶対キスされる。
「……迎えに行っていい?」
「ダ、ダメだよ。遅くなるし、地元の友達の家に泊まる予定だから本当にその日は会えない…」
「友達って男じゃないよね?」
「ユリって子……」
何でこんな誘導尋問されてるのよ。
目見れないから余計怪しまれてる?
見れないのはちゃんと理由が……
それなのに彼の手でいとも簡単に顎クイされて視線が絡む。
咄嗟に身構えてしまう私に真っすぐな瞳。
ダメだ………嘘がつけなくなる。
「じゃあ、次の日朝一で迎えに行ってもいい?日曜だし」
「えっと……暇なの?きっと顔むくんじゃってたりするから会いたくないんだけど」
「やっぱり結構飲むんじゃん……」
「だから……それは……」
何よ、やっぱり中身は子供じゃん。
強く言い返せない私も相当子供だけど。
「本当にちゃんと学習してくれてるんだよね?」
なに、この展開……
本来学習しなければならないのはあなたでしょう?
まだ義務教育受けてる身なのに。
「じゃあ、今ここで約束して?」と小指を差し出す。
またか、この約束事好きなんだな。
「絶対、浮気しない…って」
「浮気?私が、同級生と?アハハ、ないない!」
そこ心配してたの?
誰でもかんでもキスするキス魔じゃないっつーの。
声出して笑ってたら頬にキスされて再びあの瞳に捕まった。
「自分が可愛いこと自覚してないでしょ?」
真顔で言わないで。
自覚する訳ないでしょ。
私なんかいつもほぼすっぴんだし綺麗に着飾ったりしてないもん。
職業柄……だけど。