消えないで、媚薬。
「何に対してのごめん?」
そのキスが欲しいと思う謝罪……
「言動と行動が伴ってないから……矛盾してるから…ごめん」
「じゃあ香帆さんも欲しいって思ってくれてるんだね?俺だからそんな顔しちゃうの?」
ここで首を縦に振れば完全に認めてしまったことになる。
それでも私は……本能には勝てないと思い知る。
一体、何度これを繰り返すんだろう。
この手を差し出せば……
指でその唇をなぞれば……
「このキスさえあれば……それでいい…」
口から滑り落ちた言葉。
もう否定は出来ない。
「じゃあ、同窓会終わるまでキスはお預け…ね?」
「へ…!?」
「あれ?堪らなくなって俺がキスしてくるだろうと思った?」
「べ、別に…」
めちゃくちゃ変な声出しちゃったけど…!
これじゃ待ってたことバレバレじゃん…!
「ちゃんと俺の元に帰って来るまでお預けだよ?」って顔を近付けて寸止めで言う。
まさか、手玉に取られてる!?
「そっかそっか、俺とのキスが好きなんだね〜」とニヤニヤしながら。
なんか…!
なんかムカつく…!!
宣言した通り、本当にキスしてこなかった。
肩に頭乗せて甘えてきたり、ハグしてきたりはするけど何もない。
ちょっと待って……?
物足りなく感じてるの?私……
どうしよう……唇ばかり見てしまう。
なるべく距離を取って、気にしてないフリ。
それでも手とか握られるから苦肉の策でクローゼットにしまってあったオセロを出して「一緒にやろう」とか訳の分からないこと言っちゃってるし。
テンパってるの丸わかり。
やり始めたものの、隣同士でくっついたままだし手は握ったままだ。
でもオセロをすることで雑念を追い払うしか残された道はない。